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唾液の驚くべき健康機能 〜口の健康から全身の健康まで〜

よく歯を磨いているのに虫歯になりやすい、唾液の臭いが気になるといった悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。実は、これらの問題には唾液の質が大きく関係しています。

唾液は単なる水分ではなく、私たちの健康を保つ上で極めて重要な役割を果たしている生体液です。その多様な機能を理解することで、口腔の健康はもちろん、全身の健康維持にも役立てることができます。

目次

唾液の8つの重要な機能

1. 口腔内の潤滑作用

お口の中には硬組織である歯と、軟組織である舌や粘膜が混在しています。唾液はこれらを潤すことで、会話や食事を滑らかに行えるようにしています。

2. 消化の補助機能

唾液には消化酵素のαアミラーゼが含まれており、デンプンを麦芽糖に分解します。食べ物を唾液と混ぜることで、胃に届く前から消化作業が始まっているのです。

消化 液栄養素消化酵素分解前分解後
唾液糖質αアミラーゼデンプン麦芽糖、α-限界デキストリン

近年、唾液の分泌が悪く、食事中にジュースで代用する子どもが増えていることが指摘されています。これは消化不良の原因となり、胃腸への負担増加につながる可能性があります。

3. 嚥下(飲み込み)の補助

唾液と食べ物が混ざることで適度な水分と粘性を持った食塊が形成され、飲み込みやすくなります。

4. 抗菌・免疫機能

唾液には以下の抗菌成分が含まれています:

  • リゾチーム:抗菌作用を持つ酵素(涙や汗、リンパ腺にも存在)
  • ムチン:細菌を凝集させて口内から排出する作用

十分に噛んで唾液と混ぜた食べ物は、唾液と胃液の相乗効果により強い殺菌力を発揮します。食中毒のリスクが高い状況では、水分を控えてよく噛むことが有効とされています。

野生動物が傷口を舐めるのも、唾液の抗菌作用を本能的に利用した行動です。

5. 味覚機能のサポート

私たちが感じる甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つの基本味覚は、食べ物の味成分が唾液に溶け込んで舌の「味蕾(みらい)」に届くことで感知されます。

唾液が不足すると:

  • 味成分が味蕾に適切に届かない
  • 舌の摩擦が増加して味蕾が損傷する
  • 味覚障害を引き起こす可能性

6. 口腔内の清浄作用

唾液は口の中を洗浄する役割を担っています。分泌量が減少すると:

  • 口腔内が汚れやすくなる
  • 虫歯や歯周病のリスクが増加
  • 口臭の原因となる

口呼吸により口腔が乾燥すると、細菌が繁殖しやすくなるため注意が必要です。

7. pH調節機能(唾液緩衝能)

唾液中の重炭酸塩イオン(HCO₃⁻)の働きにより、口腔内のpHを中性に保つ機能があります。

食事後は口腔内が酸性に傾きがちですが、唾液の緩衝能により速やかに中性に戻され、歯の溶解(脱灰)を防ぎます。この機能が弱い人は虫歯になりやすいとされています。

8. 再石灰化作用

虫歯菌が産生する酸により歯のエナメル質が溶ける「脱灰」に対し、唾液中のカルシウム、リン、ミネラルが歯を修復する「再石灰化」を行います。

この機能は自律神経の働きと密接に関連しており、体全体の健康状態が影響すると考えられています。

唾液分泌に影響する疾患

1. シェーグレン症候群

自己免疫疾患により唾液腺や涙腺が攻撃・破壊され、口や目の乾燥症状が現れます。

2. 更年期障害

ホルモンバランスの変化により、口腔乾燥を訴える場合があります。

3. 放射線治療

頭頚部がんの放射線治療により唾液腺が損傷し、分泌量が減少することがあります。

4. 薬剤の副作用

一部の薬剤には唾液分泌を抑制する副作用があります。

唾液の健康状態をチェックする方法

臭いのチェック

手の甲を舐めて軽く乾かし、臭いを確認します。強い臭いがある場合は、分泌量の不足や質の低下が考えられます。

分泌量のチェック

乾いた食べ物(クッキーやパンなど)を食べて、飲み込みやすさを確認します。困難な場合は分泌量不足の可能性があります。

以下の症状も唾液不足のサインです:

  • 喉の渇き
  • 口腔乾燥感
  • 口の中のネバネバ感

唾液分泌を促進する舌の体操

以下の体操により、耳下腺、顎下腺、舌下腺を刺激し、唾液分泌を促進できます:

  1. 舌の前下方運動:舌を前下方に大きく出す(3回)
  2. 舌の左右運動:舌を出して左右に動かす(各3回)
  3. 唇周りの運動:舌先で唇をゆっくりと1周なめる(3回)
  4. 口蓋接触運動:口を大きく開け、舌を口蓋の奥に押し付ける(3回)

根本的な健康改善のために

唾液の分泌異常は、多くの場合、自律神経系の機能低下が根本原因とされています。これは細胞のエネルギー産生機構であるミトコンドリアの機能低下と関連していると考えられています。

ガムを噛むなどの対症療法よりも、体全体のpHバランスを整え、細胞レベルでの健康改善を図ることが重要です。天然の昆布などの自然食品を活用することも一つの方法です。

まとめ

唾液は私たちの健康維持において、想像以上に重要な役割を果たしています。口腔の健康から始まり、消化、免疫、全身の健康まで、その影響は多岐にわたります。

日常的に唾液の状態をチェックし、必要に応じて生活習慣の改善や専門医への相談を行うことで、より良い健康状態を維持できるでしょう。

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この記事を書いた人

2代目たたき上げ社長です。経営者と社員の狭間で苦しんだ経験から、中間管理職の孤独や板挟みの辛さを痛感しています。上司と部下、理不尽な要求、成果への重圧に悩むあなたに寄り添い、解決のヒントを発信します。

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