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経営者が実践する資産運用術|ポートフォリオのリバランスで安定収益を実現する方法

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私がこの会社を継いでから10年が経ちました。2代目として、先代が築いた基盤を守りながら、さらなる成長を目指す日々。その中で痛感するのは、会社経営と個人の資産運用には驚くほど多くの共通点があるということです。

どちらも「リスクを適切に管理しながら、長期的な成長を目指す」という本質は変わりません。しかし、多くの経営者が会社のことは細かく管理しているのに、自分の資産運用となると「一度決めたら放置」というケースが非常に多いのが現実です。

私自身、創業者である父から会社を継いだ当初は、目の前の経営課題に追われて個人の資産運用まで手が回りませんでした。でも、ある時気づいたんです。会社の事業ポートフォリオは定期的に見直すのに、なぜ個人の投資ポートフォリオは見直さないのか、と。

目次

ポートフォリオの「健康診断」が必要な理由

会社の健康診断として定期的に財務分析を行うように、投資ポートフォリオにも定期的な「健康診断」が不可欠です。

例えば、2年前に株式50%、債券30%、不動産投資信託20%で始めた資産配分が、今も同じ比率を保っているでしょうか。おそらく違うはずです。株式市場が好調だった期間があれば株式の比率が上がり、逆に下落があれば比率が下がっているでしょう。

私が経験した例を挙げると、ある年の年初に設定した資産配分が、年末には株式の割合が当初の50%から65%まで膨らんでいたことがありました。一見すると「利益が出ているから良いじゃないか」と思えますが、これは実は大きなリスクを抱えている状態なんです。

なぜなら、株式の比率が高まることで、市場が下落した時の損失も大きくなってしまうからです。まさに会社経営で言えば、特定の事業に依存しすぎている状態と同じです。

2つのリバランス手法とその選択基準

ポートフォリオのバランスを整える「リバランス」には、主に2つの手法があります。

定期リバランスは、3ヶ月や半年、1年といった一定期間ごとに資産配分を見直す方法です。私は四半期ごとの会社の業績レビューと合わせて、個人の資産配分も確認するようにしています。メリットは管理が簡単で、感情に左右されにくいこと。デメリットは、市場の大きな変動があっても期間まで待たなければならない点です。

一方、トリガーベースリバランスは、あらかじめ設定した閾値を超えた時点で調整を行う方法です。例えば「株式の比率が当初設定から5%以上乖離したら調整する」といったルールを決めておきます。この方法の利点は、市場の大きな変動に即座に対応できること。ただし、相場が乱高下する時期は頻繁に調整が必要になる可能性があります。

私の経験では、基本的には半年に1回の定期リバランスを軸にしつつ、株式比率が当初設定から10%以上乖離した場合はその時点で調整するという、両方の手法を組み合わせたやり方が効果的でした。

リバランスで注意すべきコストの落とし穴

ここで重要なのは、リバランスには必ずコストがかかるということです。売買手数料や税金など、頻繁に行いすぎると逆にリターンを圧迫してしまいます。

実際、私も最初の頃は市場の動きが気になって月に1回はリバランスを行っていました。しかし、年間の取引コストを計算してみると、せっかくの運用益の相当部分を手数料に取られていることに気づきました。これは会社経営で言えば、売上は伸びているのに利益率が下がっている状態と同じです。

特に日本の場合、株式の売却益には約20%の税金がかかります。頻繁なリバランスは、この税金を前倒しで支払うことになるため、長期的な資産形成の観点では必ずしも有利とは言えません。

私が現在実践しているのは、NISA口座を活用したリバランスです。NISA内であれば売却益に税金がかからないため、コストを気にせずに調整ができます。また、新規の積立投資を使ってバランスを調整することで、売却せずにリバランスを行う「積立リバランス」も有効な手法です。

ゴールベース資産運用で感情に左右されない投資を

会社経営でも個人の資産運用でも、最も重要なのは明確な目標設定です。私が実践しているのは「ゴールベース資産運用」という考え方です。

例えば、「15年後に子供の教育資金として1,000万円が必要」という具体的な目標があったとします。現在500万円の資産があるなら、年率約4.7%で運用できれば目標達成が可能です。この必要利回りから逆算して、株式60%、債券40%といった資産配分を決定するのです。

この方法の最大のメリットは、市場の短期的な変動に一喜一憂せずに済むことです。株価が下がっても「計画通りに進んでいるかどうか」という視点で判断できるため、感情的な売買を避けることができます。

私も経営者として、日々様々な判断を迫られます。時には短期的な利益を犠牲にしても、長期的な成長のために必要な投資を行うこともあります。個人の資産運用でも同じです。目先の相場変動に惑わされず、設定した目標に向かって着実に歩み続けることが何より大切なのです。

まとめ – 経営者視点で見る継続的な資産形成

会社を経営していると、「継続は力なり」という言葉の重みを日々実感します。小さな改善の積み重ねが、やがて大きな成果となって現れる。これは資産運用でも全く同じです。

ポートフォリオのリバランスは、派手な投資テクニックではありません。しかし、この地道な作業を続けることで、長期的に安定した資産形成が可能になります。

私が皆さんにお伝えしたいのは、まず現在の資産配分を確認することから始めてほしいということです。そして、半年に1回でも構わないので、定期的にその配分を見直す習慣をつけてください。

経営者として多忙な日々を送る中でも、自分の将来のために投資できる時間は限られています。だからこそ、効率的で継続可能な方法を選択することが重要です。

最後に、投資には必ずリスクが伴います。しかし、適切なリバランスを行うことで、そのリスクを自分にとって最適なレベルにコントロールすることは可能です。会社経営と同様、リスクを恐れるのではなく、適切に管理することで、より良い未来を築いていきましょう。

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この記事を書いた人

2代目たたき上げ社長です。経営者と社員の狭間で苦しんだ経験から、中間管理職の孤独や板挟みの辛さを痛感しています。上司と部下、理不尽な要求、成果への重圧に悩むあなたに寄り添い、解決のヒントを発信します。

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