正直に言うと、2代目として会社を継いだ当初は、毎日が綱渡りでした。先代から受け継いだ責任の重さ、社員たちの期待、そして取引先からのプレッシャー。上からは「業績を上げろ」、下からは「働き方を改善してほしい」と板挟み状態。夜中に一人でオフィスにいると、「この先、会社はどうなるんだろう」「自分の老後は大丈夫だろうか」と不安になることも少なくありませんでした。
そんな時に出会ったのが、新NISAを活用したESG投資でした。最初は「またよくわからない投資の話か」と思ったのですが、調べてみると、これは単なる資産運用ではなく、自分たちの未来と社会の持続可能性を同時に考える投資手法だったんです。
新NISAの魅力を経営者目線で解説
2024年にスタートした新NISAは、正直言って「やっと使える制度になった」というのが実感です。生涯で1,800万円まで非課税で投資できるって、これまでの120万円枠とは比べ物になりません。
経営者として特に注目したのは「恒久化」という点です。いつ制度が変わるかわからない不安がないのは、長期的な資産形成を考える上で本当に重要。会社の事業計画を立てるのと同じで、投資も長期的な視点が必要ですからね。
成長投資枠の年間240万円という金額も絶妙です。毎月20万円なら、中小企業の経営者でも無理のない範囲。私も最初は月10万円からスタートして、会社の業績に合わせて徐々に増額していきました。
何より、投資をしながら「この企業は本当に社会のためになっているのか」を考える習慣がついたのが大きな収穫です。経営者として、どんな会社に投資するかを選ぶ過程で、自分の会社の在り方についても深く考えるようになりました。
ESG投資とは?社会責任と収益性の両立
ESG投資について説明する前に、正直な話をします。最初にESGという言葉を聞いた時、「また横文字の理想論か」と思いました。でも、実際に調べてみると、これは企業経営の本質を突いた考え方だったんです。
**Environment(環境)**については、うちの会社でも脱炭素への取り組みが取引先から求められるようになりました。最初は「コストがかかるだけ」と思っていましたが、結果的に業務効率化にもつながり、新しい顧客の獲得にも役立ったんです。投資先を選ぶ時も、環境への取り組みが進んでいる企業の方が、長期的に成長する可能性が高いと実感しています。
**Social(社会)**の観点では、働き方改革がまさにそうです。社員の満足度向上は、結果的に生産性向上にもつながります。投資先企業を見る時も、従業員を大切にしている会社の方が、持続的な成長が期待できると感じます。
**Governance(企業統治)**は、2代目経営者として特に重要だと考えています。透明性のある経営、適切な意思決定プロセスは、会社の信頼性に直結します。投資先選びでも、ガバナンスがしっかりしている企業を重視しています。
実践編:新NISAでESG投資を始める具体的手順
実際にESG投資を始める時、最初に悩んだのが「どの商品を選べばいいか」でした。ESG評価機関の情報は参考にしますが、結局は自分なりの判断基準を持つことが大切だと学びました。
私が実際に使っているESGファンドの選び方をお伝えします。まず、運用会社の投資方針を確認します。単に「ESG」と名前についていても、中身が伴っていない商品もあるからです。次に、組み入れ企業の顔ぶれをチェック。自分が経営者として尊敬できる企業が入っているかどうかが重要な判断材料になります。
ポートフォリオ構築では、新NISAの枠を活用して、国内外のESGファンドに分散投資しています。つみたて投資枠では低コストのインデックスファンド、成長投資枠ではより積極的なESGテーマファンドという使い分けをしています。
重要なのは、投資金額を無理のない範囲に抑えること。経営をしていると、キャッシュフローの波があります。投資に資金を縛られすぎて、会社の運転資金に影響が出ては本末転倒ですからね。
経営者だからこそ分かるESG投資の本質
ESG投資を続けて感じるのは、これは短期的な利益追求ではなく、中長期的な価値創造の考え方だということです。会社経営も同じで、目先の利益だけを追うと、いずれ行き詰まります。
投資先企業の年次報告書を読んでいると、「この会社の社長さんは、10年後、20年後のことを本当に考えているな」と感じることがあります。そういう企業は、短期的に株価が下がっても、長期的には必ず回復してくるんです。
ESG投資を通じて、自分の会社経営についても多くのことを学びました。環境への配慮、従業員の働きがい、透明性のある意思決定。これらは投資判断の基準であると同時に、自社の経営にも活かせる視点です。
社会的責任と個人の資産形成が両立できるのが、ESG投資の最大の魅力だと思います。自分の投資が、少しでも良い社会づくりに貢献できているという実感は、お金の面での利益以上の価値があります。
まとめ:持続可能な未来への第一歩
新NISAとESG投資の組み合わせは、単なる資産運用を超えた意味があります。それは、自分たちの未来と社会の未来を同時に考える機会を与えてくれるということです。
2代目経営者として、先代から受け継いだものを次の世代に渡していく責任を感じています。それは会社だけでなく、社会全体についても同じです。ESG投資は、その責任を果たす一つの方法だと考えています。
板挟みの中で悩んでいる経営者の皆さん、まずは月1万円からでも始めてみてください。投資先企業を調べる過程で、きっと自分の会社経営にとってもプラスになるヒントが見つかるはずです。
私たちが今日行う選択が、明日の社会を作ります。新NISAという制度を活用して、持続可能な未来への第一歩を踏み出してみませんか。
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