「投資って怖いじゃん。損したらどうするの?」
これは2年前、妻から老後資金の心配を指摘されたとき、私が返した言葉です。当時の銀行預金は500万円ほど。でも金利は0.001%で、1年間でたった50円しか増えません。一方で物価は上がり続けている現実がありました。
「だからって何もしないの?それこそ怖くない?」
妻のこの一言が、私の資産形成への第一歩を後押ししてくれました。そして出会ったのが「不動産クラウドファンディング」という投資方法です。
この記事では、投資初心者だった私が1万円から不動産投資を始め、2年間で学んだことをお伝えします。これから資産形成を始めたいと考えている方の参考になれば幸いです。
なぜ今、少額から始める資産形成が注目されているのか
銀行預金だけでは資産が目減りする時代
私が投資を始めようと思った最大の理由は、銀行預金の金利があまりにも低いことでした。年利0.001%では、100万円を1年預けても利息はわずか10円です。
一方で物価は上昇を続けています。つまり、お金を銀行に預けているだけでは実質的な資産価値が目減りしていくインフレリスクがあるのです。
定期預金は元本が保証されており安全性は高いものの、投資信託や株式と比べると大きくお金を増やすことは難しいとされています。だからこそ、余裕資金を活用した資産運用が重要になってくるのです。
投資初心者でも始めやすい選択肢の登場
かつて不動産投資といえば、数千万円の借金を背負い、空室リスクや管理の手間に悩まされるイメージがありました。しかし最近では、1万円程度の少額から不動産投資を始められるサービスが登場しています。
不動産クラウドファンディングは、不特定多数の投資家から資金を集め、その資金で不動産を運用し、得られた収益を投資家に分配するサービスです。出資者の募集から契約締結までをオンラインで完結できる点が大きな特徴となっています。
不動産クラウドファンディングの仕組みと特徴
従来の不動産投資との決定的な違い
私が不動産クラウドファンディングに惹かれた理由は、従来の不動産投資とは全く異なる特徴にありました。
まず、1口1万円程度の少額から投資できます。通常は数千万単位の資金が必要な大型商業施設やホテルなどの物件にも、少額で参加できるのです。
また、運営会社が物件の運用・維持・管理を代行するため、投資家自身の手間はほとんどかかりません。夜中にトイレが詰まったという電話を受ける心配もありません。
さらに、融資を利用しないため借金のリスクがありません。全額自己資金での投資となるので、レバレッジ効果はないものの、余剰資金の範囲内で安心して取り組めます。
知っておくべき2つのファンド形式
不動産クラウドファンディングには主に2つの形式があります。
ほとんどのファンドは匿名組合型で募集されており、投資家は不動産の所有権を持たず運営にも関与しません。責任も出資額の範囲内に限定されるため、初心者でも安心して参加できます。
一方、任意組合型では投資家が不動産の所有権を持ち、リスクに対して無限責任を負う可能性があります。初心者のうちは匿名組合型から始めることをおすすめします。
初心者が知っておくべきリスクと安全策
元本保証がないことを理解する
投資を始める前に必ず理解しておくべきことがあります。それは元本が保証されていないということです。
不動産価格の変動や、地震・台風などの自然災害により損失が発生する可能性はあります。私も最初に投資した地方ホテル案件では、想定利回りの半分しか分配されませんでした。
しかし、それでも銀行預金の500倍のリターンがありました。リスクとは「危険」という意味ではなく「不確実」という意味です。大切なのは、リスクを正しく理解した上で、余剰資金の範囲内で投資することです。
優先劣後構造という投資家を守る仕組み
失敗を経験した後、私がしっかり勉強して出会ったのが「優先劣後構造」という仕組みです。
多くの不動産クラウドファンディングではこの構造を採用しており、不動産価格の下落などによる損失が発生した場合、まず事業者側の劣後出資分で損失をカバーします。そのため、投資家の損失リスクが抑えられる仕組みになっているのです。
運営会社も身銭を切っているからこそ、真剣に運用してくれるという安心感があります。
失敗しないための実践テクニック
分散投資でリスクを抑える
クリック合戦に何度も敗れた経験から、私は重要なことに気づきました。一つの案件にこだわるのではなく、複数の案件に分散して投資すればいいのです。
現在は月5万円程度を以下のように振り分けています。
複数の事業者を利用することで倒産リスクを分散し、オフィス・住宅・商業施設など異なる物件タイプに投資し、短期・中期の案件を組み合わせて運用期間も分散しています。
資産をひとつの商品に集中させると大きな損失につながるリスクがあるため、値動きの異なる複数の資産に分散させることでリスクを抑えながら資産運用を行うことが大切です。
途中解約できないことを理解しておく
不動産クラウドファンディングは原則として途中解約ができません。そのため流動性が低く、急な資金需要に対応できない可能性があります。
必ず生活資金と投資資金を分け、仮に失っても生活に影響が出ない余剕資金の範囲内で投資することが鉄則です。
税金について知っておくべきこと
分配金が増えてくると、税金という新たな課題が出てきます。
不動産クラウドファンディングの分配金は雑所得に分類されます。年間の雑所得が一定額を超えると確定申告が必要になる場合があります。
最初は面倒に感じるかもしれませんが、いざやってみると意外に簡単です。お金が増えれば税金も増える。これも資産形成が順調に進んでいる証拠だと前向きに捉えましょう。
まとめ 小さな一歩が大きな変化を生む
2年間の投資を通じて、私が学んだことはお金以上に価値がありました。
1万円という少額から始めたからこそ失敗を恐れずに済み、毎月コツコツと積み重ねることで気がつくと投資総額は100万円を超えました。投資を通じて経済や不動産について自然と詳しくなり、夫婦でお金の話をする機会も増えました。
何より実感したのは「何もしないリスク」の方が大きいということです。
不動産クラウドファンディングは少額から手軽に始められ、運用の手間がかからず、比較的安定したインカムゲインが期待できる投資方法です。投資初心者やリスクを抑えた資産形成を求める方にとって、検討に値する選択肢といえるでしょう。
ただし、元本保証がないこと、途中解約ができないことなどのリスクを十分に理解し、余裕資金での投資を心がけてください。
あなたも月1万円という手の届く金額から、新しい資産形成の世界に足を踏み入れてみませんか。


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